JavaScript 「for」「forEach」「for...in」「for...of」違い
JavaScript におけるループ構文:for, forEach, for...in, for...of の違いを徹底解説
JavaScript で配列やオブジェクトを扱う際に、同じ処理を何度も繰り返す必要がある場面はよくあります。そのための基本的な方法として、ループ構文が利用されます。しかし、JavaScript には様々な種類のループ構文が存在し、それぞれに特徴があります。本記事では、代表的なループ構文である for
, forEach
, for...in
, for...of
の違いを詳しく解説します。
1. for ループ:制御の自由度が高い伝統的なループ
for
ループは、JavaScript で最も基本的なループ構文です。インデックスを使って要素にアクセスし、ループの開始点、終了条件、ステップなどを明示的に指定できます。
const fruits = ["apple", "banana", "orange"];
// 0 から 2 まで順番に要素を取り出す
for (let i = 0; i < fruits.length; i++) {
console.log(fruits[i]);
}
メリット:
- インデックスを使って要素の取り出し方を細かく制御できる。
- ループの開始点、終了条件、ステップを柔軟に設定できる。
- 複雑な条件分岐や、特定のインデックスでのみ処理を行う場合に便利。
デメリット:
- インデックスを意識する必要があるため、コードが冗長になりやすい。
- 誤ったインデックス操作によるエラーが発生しやすい。
2. forEach ループ:配列の要素に対して関数を実行する
forEach
ループは、配列の各要素に対して指定された関数を一度ずつ実行します。インデックスや配列の長さといった情報を利用せずに、要素そのものにアクセスできます。
const fruits = ["apple", "banana", "orange"];
fruits.forEach(function(fruit, index) {
console.log(`Index: ${index}, Fruit: ${fruit}`);
});
メリット:
- コードが簡潔で読みやすい。
- インデックスを意識する必要がないため、エラーが発生しにくい。
- 配列の要素に対して処理を行う場合に便利。
デメリット:
- ループの制御(開始点、終了条件、ステップなど)はできない。
break
やcontinue
を使ってループを中断することはできない。
3. for...in ループ:オブジェクトのプロパティを順番に処理する
for...in
ループは、オブジェクトのプロパティ名を順番に取得し、それらを使ってプロパティの値にアクセスします。キー(プロパティ名)だけでなく、値も参照できるため、オブジェクトの構造を理解するのに役立ちます。
const person = {
name: "John",
age: 30,
city: "Tokyo"
};
// オブジェクトのプロパティ名を順番に取得し処理する
for (let key in person) {
console.log(`Key: ${key}, Value: ${person[key]}`);
}
メリット:
- オブジェクトのすべてのプロパティを順番に処理できる。
- キー(プロパティ名)と値の両方を利用できる。
デメリット:
- 配列のインデックスを使って要素にアクセスすることはできない。
hasOwnProperty()
を使って、オブジェクト自身のプロパティのみを処理する必要がある場合がある。(継承されたプロパティは無視されるため)- パフォーマンスが
for
ループやforEach
ループよりも劣る可能性がある。
4. for...of ループ:イテラブルなオブジェクトの値を順番に処理する
for...of
ループは、配列や文字列などのイテラブルなオブジェクトの値を順番に取得し、それらを使って要素にアクセスします。インデックスを意識する必要がなく、よりシンプルにループ処理を行うことができます。
const fruits = ["apple", "banana", "orange"];
// 配列の値を順番に取得し処理する
for (let fruit of fruits) {
console.log(fruit);
}
const message = "Hello";
// 文字列の文字を順番に取得し処理する
for (let char of message) {
console.log(char);
}
メリット:
- コードが簡潔で読みやすい。
- インデックスを意識する必要がないため、エラーが発生しにくい。
- イテラブルなオブジェクト(配列、文字列、Map, Setなど)の値を処理するのに便利。
デメリット:
- ループの制御(開始点、終了条件、ステップなど)はできない。
break
やcontinue
を使ってループを中断することはできない。
まとめ:適切なループ構文を選ぶために
ループ構文 | 対象オブジェクト | 制御の自由度 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
for |
配列、オブジェクト | 高い | インデックスによる細かな制御が可能 | コードが冗長になりやすい、エラーが発生しやすい |
forEach |
配列 | 低い | コードが簡潔で読みやすい、エラーが少ない | ループの制御はできない |
for...in |
オブジェクト | 中程度 | プロパティ名と値の両方を利用できる | インデックスアクセス不可、パフォーマンスが劣る |
for...of |
イテラブルオブジェクト | 低い | コードが簡潔で読みやすい、エラーが少ない | ループの制御はできない |
それぞれのループ構文には特徴があり、処理内容や対象オブジェクトに応じて適切なものを選択することが重要です。 特に、for...in
はオブジェクトのプロパティを扱う場合に注意して使用する必要があります。
この記事を通して、JavaScript のループ構文の違いについて理解を深め、より効率的なコードを書けるようになることを願っています。

この記事を書いた人
satatu